グランドプリンスホテル広島

池原義郎・建築設計事務所+大林組 1994

元宇品の先端に建つ高層ホテル。宇品は元々は広島湾に浮かぶ島で、明治期の干拓事業により陸続きとなり「向宇品」「元宇品」と呼ばれるようになった。島の中央部には瀬戸内海でも数少ない原生林が残っているが、本作がある東側は明治以降の埋め立てで造船所などが立地していたようだ。
本作は瀬戸内海の眺望を最大の売り物とするリゾート型のホテルとして計画され、広島アジア大会に合わせた建設ラッシュの中、1994年に竣工した。高層棟の平面は正三角形で中央にコアがあり、全方向に開口部を確保している。また、マリーナとも隣接しており、宮島からの連絡船もある。
一階ロビーには水が張ってあり、その周囲を螺旋スロープが取り巻いている。実用には向かないウェディング演出用のスロープであるが、バブル期のポストモダンを想起させる造形といえるだろう。
海の眺望は今でも堪能できるので、天気の良い日に高層階の飲食店を利用するのをおすすめしたい。